第39回 - 第60号 - 2010.1.1刊

図書館とわたし


建築システム工学科 橋本 幸博 


 民間企業から職業大に移ってきたとき、学内に大きな図書館があって、専任のスタッフがいるこ
とを大変ありがたいことだと思いました。何しろ、私が勤務していた企業の小さな研究所では、書
籍や雑誌の管理を自分たちで行っていたので、研究や実務の片手間に管理業務をするのは面倒なこ
とだったからです。職業大の図書館は、窓が大きくて室内が明るく、学生の時に利用した東大の本
郷キャンパスにある総合図書館の薄暗くて陰鬱な雰囲気とは大違いです。

 職業大の図書館は、蔵書が充実しているだけでなく、学術雑誌や一般の雑誌の種類も豊富です。
「日経ビジネス」や「東洋経済」などの経済関連の雑誌も置いてあるので、最新のビジネスや技術
のトピックスをリサーチすることもできます。また、特徴的なのは職業訓練に関係する文献、雑誌
及び教科書がそろっていることです。

 企業にいたときは、学術雑誌などの文献を入手するのに手間がかかりましたが、職業大の図書館
には多数の学術雑誌がそろっているだけでなく、所蔵のないものについては、他の図書館から文献
のコピーを取り寄せるサービスがあって便利です。自動制御で PIDコントローラーの有名な調整法
にZiegler-Nicholsの限界感度法というものがありますが、原文が掲載されているのは1942年のASME
(アメリカ機械学会)の論文集です。あまりにも古い文献なので、長い間原典を入手することがで
きませんでしたが、数年前に図書館で文献を取り寄せて頂き、ようやく読むことができました。

 図書館では、DVDを借りたり、インターネットを利用したりすることもできて、マルチメディアの
時代に対応しています。しかし、やはり図書館は紙の本、紙面にある活字を読むための場所でしょ
う。活字からは古今東西の知識と知恵が芳香のように立ち上って来るし、行間からは書かれていな
いことを想像する喜びが得られます。せっかく恵まれた環境にいるのですから、学生には試験勉強
以外にも図書館を利用して、専門書や小説などを読んでほしいと願っています。読書で眼が疲れた
ときは、窓ガラス越しに緑を眺めて、視覚疲労を軽減させるといいですね。 入口から2階の閲覧室
に至るまで、館内にも観葉植物の鉢植えが置いてあり、何から何まで気が利いている図書館だと感
心しています。