第38回 - 第59号 - 2009.10.1刊

ストラスブール大学付属図書館


専門基礎学科 佐野  茂 

 図書館では多くの本との出合いがあり、なにか知りたいとき、自分の考えをまとめたいときなど
長年お世話になってきた。中でも思い出が深いのは、ストラスブール大学の付属図書館である。ス
トラスブールはドイツ国境に近いフランスのアルザス県の歴史ある都市である。ここにはヨーロッ
パ共同体の議会があるので、地元の人たちはストラスブ−ルはヨーロッパの首都だと言っているが、
人口45万人程の地方都市の規模である。
 アルザスは鉄や石炭などの地下資源が豊富なこともあり、ドイツ領になったり、フランス領にな
ったりと歴史に翻弄されてきた地域である。そのため、図書館にはドイツ語の貴重な文献も揃って
いる。

 私の専門とする数学の文献では主要な専門雑誌が揃っているだけでなく、日本では入手不可能な
雑誌のバックナンバーも揃っている。また、主要な研究者の論文は整理されており、著者を調べる
と論文が検索できる態勢にもなっている。単行本もよく揃っているが、日本語の本がほとんどない
ので、疲れたときなど日本語の本が恋しくなった時もあった。

 ここストラスブール大学では、第一回の日仏シンポジウムが1979年に開催されており、私も参加
した。その折にお会いした、大学付置の高等数学研究所のファロー教授のもとにフランス政府の給
付を受けて、研究者として1983年から1年半ほど滞在しお世話になった。ファロー教授の研究室の
あるフロアーには専門を同じくする研究者(コラニー、ボップ、佐竹教授等)が揃っている。ナン
シー大学はここから列車で1時間ほどの距離のため毎週セミナーを開催し、ストラスブール大学と
交流している。これはナンシーストラスブールセミナーと呼ばれている。

 ストラスブール大学では、海外からの専門家の講演もよくある。ドイツのオーベルバッハでシン
ポジウムがあると、帰りにストラスブール大学に立ち寄って講演をするからである。さらにスイス、
ベルギー、オランダなどにも近く連帯感をもってパリに対抗する空気を感じることもあった。こう
した地の利や人の繋がりを生かして、30代に多くの国際会議に参加し講演することができた。