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電気工学科 木 島  均

電子情報通信学会の編集部から、「接地と雷防護」に関する本の執筆依頼があった。それまで、この分野の専門書があまりなかったからである。コロナ社から出版されている電子情報通信学会のシリーズは、この段階で80冊ほど出されており、私の専門分野に近い数冊を参考のために読まさせて頂いた。その感想は、とても数式が多く難しいということであった。そこで、編集部の方々に全く新しいスタイルを提案した。その本が、この「接地と雷防護」である。

 特徴は、「接地」と「雷防護」に関する専門書であるにも係わらず、数式がたった3行しか出てこないことである。これは、私が学生のときに「ファインマンの物理学」を読んで、影響を受けたからである。その本は、数式が少なく絵が沢山描かれており、全てお話で説明されていた。私は、理学と工学の境界は、数式で表されている段階が理学で、絵に描けた段階が工学であると考えている。全くの素人の方々に読んで頂いてもわかるように、絵は妻に内容を説明してトレースしてもらい、3人の娘に全文を読んでもらい娘が読んで分からない内容は削除した。

 この結果、当初の原稿の40%少ない、初心者にも理解してもらえる内容に仕上がった。基礎編、応用編、事例編のように分割されており、どのページから読み始めても完結して理解できるものとなっている。

 また、この電子情報通信学会のシリーズとしては初めての各章の最後にコーヒーブレークを挿入した。このコーヒーブレークは、執筆時間の半分を費やして、最初に書いたものであり全部で30ほど作成した。最終原稿は14章のため半分しか掲載できず、残りの半分は未掲載のままであった。コロナ社の方が、このコーヒーブレークを世に出すために、次の本の執筆依頼を出してくれている。私はまだコーヒーブレークを楽しんでおり、柔らかい興奮の中で構想を練っている。

 なおこの本を読むと以下のような効用があることを付け加えさせて頂く。

 電気工学科の学生がアルバイト先のマクドナルドで電子レンジの「接地」は何故必要かと聞かれた(本当の話し)。答えは「放射ノイズの低減と感電防止である」。